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当社の哲学

その広告ではもったいない

先田 新一
(株)日本SPセンター OB

ほんとうのブランド構築に役立つ、
新しい広告のつくり方とは─

ブランドとは何か? その構築に広告がはたす役割は? 
いま新しい「プロダクト・インフォメーション」と
「クロス・メディア」の考え方が、
企業メッセージのあり方を変えていく。

1、ブランドとは一貫したメッセージをお客さまに発信し続けること。

「ブランド」万能時代は終わっている

ブランド名だけに頼って買い物をする人はもういない。
ブランドの好き嫌いはあっても、
購入時点ではそのつど判断する人が多くなってきた。
顧客はブランドを使い分けるのだ。
たとえば、「洗濯機はナショナルよ。電子レンジならシャープね」
といった具合に。
いまや韓国製品にも抵抗感はほとんどない。
要するに、そこそこの信頼感があって、価格が手ごろであれば、
ブランドにこだわらずに商品選択をする人が増えているのだ。
ブランドは意味を失ったのだろうか?

表層的な「一貫性」は意味がない

誤解のないようにいっておくと、
ここではエルメスやルイ・ヴィトンの話をしているのではない。
家紋のような模様をつけるだけで、
バッグひとつに数十万円の値段がつく世界があるのはたしかだが、
それはきわめて異例な話だ。
だが世の中には異例中の異例の話を持ち出して、
ブランド論を語る人もいる。
だから、広告主もついつい誤解をしてしまうことがある。
「わが社もルイ・ヴィトンのようになりたい」などと
社長さんが言い出せば要注意だ。 私たちの会社にも、
ごくたまにブランド力強化についての課題が持ち込まれることがある。
語るべき「信念」「歴史」「物語」を持っている企業であればいいが、
そうでなければつまらないことになる。
結局、具体的にすることといえば、スローガンやロゴをつくるとか、
カタログのフォーマットを統一するとかになってしまうのだ。
ブランドに関しての「ルール化」「フォーマット化」は、
重要であるにしても、ブランドの本質ではない。
この種のことは、顧客とのブランドリレーションシップを構築する上では、
それほど大きな意味を持たないのだ。

大切なことは──

について、一貫したメッセージをお客さまに発信し続けることである。

ブランドからブランドリレーションシップヘ

ブランドが意味を失ったのではない。
ブランド(または企業)への、
「より深いレベルでの」信頼関係こそが大切になってきたのだ。
顧客との間に良いブランドリレーションシップを保つことには
確かに利益がある。

これらの利益は、企業にとって何物にも代え難い。
だが、それは決して一朝一夕に得られるものではないことを、
再確認すべきだろう

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2、ブランドの構築・強化に、広告がはたす役割

マス広告の利点と限界

ブランドを構築していく上で、マス広告は重要な役割を担っている。
なんといっても、それは強力な「プッシュ」機能を持つメディアだからだ。
企業にとって、「好きなときに」
「好きなメッセージを」発信できるというのは、
とても魅力的なことなのだ。
しかし、「マス広告だけ」という常識はそろそろ時代遅れになってきた。
なぜなら。

などの理由による。

マス広告は、他の手段と適切に組み合わせてこそ、効果がある。
セールス・プロモーション、パブリシティー、
ダイレクト・マーケティング、
そしてもちろんウェブサイトやSNSとの組み合わせだ。
今日ではむろんクロスメディア戦略の重要性は理解されているが、
現実にはまだまだ、「まず、マス広告ありき」というケースが多い。
企業の社長、幹部、マーケティング担当者は、
マス広告の利点と限界を、もう一度よく確認しておくべきだろう。

ブランド強化広告と、商品広告

少々乱暴だが、マス広告を、大きく2つに分けて考えてみよう。
ブランド強化を主たる目的とする広告を、「ブランド強化広告」、
商品告知と、顧客との関係づくりを主たる目的とする広告を、
「商品広告」と呼ぶことにする。
「ブランド強化広告」は、いわゆる「企業広告」のことだ。
だが、「ブランド強化広告」と呼ぶほうが、その目的がはっきりする。
ここで重要なことは、企業広告ではあっても、
あくまでメッセージは具体的であるべきことだ。
抽象論ではなく、具体的な商品、又はサービスについて語らねばならない。
たとえばTOYOTAは、エコ企業として、第一位の評価を受けている。
これは、「プリウス」「エコ・プロジェクト」という
具体的な商品・サービスにより、そのエコ性を証明して見せたからだ。
そして、その広告を飽きずに継続しているからだ。

商品広告も、ブランド構築に役立つ

「商品広告」とは、個々の商品に関する
プロダクト・インフォメーションだ。
だがこれも、大きい目で見れば、ブランド構築に役立つ。
商品広告は、「多様性のある一貫性」をめざすこと。
切り口、表現方法は、当然多様であってよい。
しかし、企業内でブランドの本質が強く意識されているならば、
自ずとその一貫性は見えてくるはずだ。
そのためには、関係者全員(開発、営業、宣伝ほか)が、
ブランドメッセージについての深い理解を持つことが必要だ。
表現上のルール化も必要だが、これは最低限にとどめたい。

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3、これからの広告をどうすべきか──3つの提言

提言1. もっと情報を──Informative

まず、顧客の「知りたい」に答えること

情報提供。それは、顧客のための、もっとも重要サービスの一つだ。
顧客の「知りたい」に的確に応えることができれば、
顧客のブランドヘの信頼感・親密感を向上させることができる。
注意すべきは、顧客が「知りたい」ことは、
企業が「言いたい」こととは、必ずしも同じではないことだ。
たとえば、企業は往々にして他社製品との違いを言いたがるものだが、
顧客が本当に知りたいことは
「自分がいま使っている製品との違い」であったりする。
あらゆるメッセージは、顧客の視点で再検証されるべきだ。

特長の羅列ではなく、ベネフイットを

情報には「情」と「報」がある。
「報」とは、通常「お知らせ」であって、数字で表されるもの、
スペック的なものと考えればよい。
工場から出てきた生のままの商品特長は、
やはり「報」にちかいものと考えられる。
これに対して「情」は、
人というフィルターを通して初めて得られる、生きた情報のことだ。
「情」と「報」は、一般的には「特長」と
「ベネフィット(顧客利便性)」とも言い替えられる。
ベネフィットは意外なところに潜んでいて、
机上ではなかなか発見できないことが多い。
私たちの会社では、あらゆる機会をとらえて、
広告主に「お客さまのことをもっと調べましょう」と呼びかけるが、
これは本当のベネフィット、つまり「情」を発見したいためだ。
これからの広告には、むしろこの「情」を
どう編集していくかが大切になってくる。

情報の「量」をもっと

とくに、インフォメーション・リッチ商品
(住宅や家電製品など、語るべき内容が格段に多い商品)
については、もっと情報の「量」がほしい。
たとえば商品情報であっても、
個々の特長はもちろん、自社商品の中での選び方、
他杜商品との違い、過去の商品との違い、
その使い方、それを使って広がる生活の楽しみ、
実際に使った人はどう言っているのか、
また、ときにはデメリット情報までを含めた広範囲なものが必要だ。
もちろん、マス広告だけでは、
情報量の問題はクリアできないことが多い。
ウェブサイトなど、統合的な戦略の中で解決すべきことだ。

提言2. 持続する関係づくり──Interactive

広告の打ちっ放しはやめる

これまでの広告は、目的があいまい。
成果も問われないものが多かった。
これからは、「何のために」「どんな成果を望むのか」を
はっきりさせるべきだ。
顧客から見ると、
「次のアクション」が起こせるかたちになっているということだ。
「もつと詳しく知りたい」「どこで買えばいいのか」「質問したい」
──顧客の、こんな気持ちにどう応えるかが重要だ。
そのために「詳細資料提供」「ウェブサイトとの連動」
「キャンペーンとの連動」など、
次のアクシヨンにつなぐしかけを必ずつくるようにしたい。

顧客との「持続する関係づくり」が最終の目的

まずは「情報受信」の意識としかけをつくるように、
考えていきたい。顧客の声に対する感度を高めることは、
商品開発や販売促進に欠かせない。
それだけではなく、顧客の声を聞くことそれ自体が、
ブランドヘの親近感を高めるうえで大いに役立つ。
広告だけでは難しいかもしれないが、
ウェブサイトとの連動で考えれば、充分に可能だ。
顧客との「関係」は一度きりで終わるものではない。
出会いを大切に。顧客データベース化までを
視野に入れた広告づくりが求められる。

提言3. 統合的な戦略を──Integrate

広告は、他のメディアへの入り口

マス広告は、他のメディアやマーケティングシステムと
組み合わせたとき、大きな力になる。
広告は、顧客との「接点」としての役割を果たすことが多いから、
ここから、他のメディアヘの誘導、販売現場への誘導を考えたい。
たとえば、新聞広告にURL(サイトアドレス)を載せることは
常識化したが、それが意外に小さかったりする。
また、飛んでいった先のコンテンツが、
わざわざ見るほどでもないような貧弱なものであるのも問題だ。
かたちだけの連動では、意味がない。
広告を含めたあらゆるメディア内の情報は、
最初から一体のものとして企画されるべきだ。

クロスメディア戦略への発展

さらには、統合的にひとつのキャンペーンを動かしていく、
いわゆるクロスマーケティングヘと発展させたい。
マス広告、ウェブサイト、店頭、ショールーム、DM、
パンフレット、イベント、顧客データベースなどが互いに関係しあい、
長所を生かしながら販売活動を成功に導く。
こうなったとき初めて、一つのブランドは立体的なものとして、
お客さまの目に印象づけられるだろう。

とくにウェブとの関係性を最重要視すべき

ウェブサイトは情報の蓄積基地だ。
企業が有するコンテンツのすべてを、
ここにアーカイブするように考えるといい。
広告とウェブサイトは、メディア戦略のふたつの大きな核になるだろう。
これまでは、コスト要因その他の便宜的な理由のため、
他のメディアで作成したコンテンツを
そのままウェブサイトに掲載することが多かったが、
今後はこの逆の流れも起こり得る。
まずウェブサイト用にコンテンツをつくり、
それを他のメディアに展開するのだ。
そうなれば、広告とウェブサイトは、
メディア戦略のふたつの大きな核になるだろう。

まとめ

ひとことで言えば、強いブランドを生み出す鍵は
「顧客との持続する関係づくり」である。
そのために留意すべきことを整理すると以下のようなことになる。

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