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当社の哲学

プロダクトインフォメーション
こそ広告の核。

より実利に結びつく広告本来の姿とは?

2005年3月号の「EAGLE」誌に掲載された、
日本SPセンター会長、井上道三のインタビュー記事を
再録しています。

伝達能力が、業績を変える

---最初に、日本の広告の現状を
  どう見られているかについて
  お聞きしたいのですが。

全般的にはブランド論が盛んと言いますか、
広告主はマス広告などを通じて
企業や製品のブランド構築に力を入れる動きが活発なようです。
しかし、ブランドとは本来、製品の価値や効能、歴史やユーザーの使用体験など
トータルなパフォーマンスが時をかけて育むもの。
数ある広告媒体の一つにすぎないマス広告だけで
性急な認知を図ることには無理がありますし、
消費者にしても企業ブランドから個別製品ブランド、
さらに品番ブランドへと、見つめる対象の幅が広がってきています。

ブランド構築は企業にとって大変重要な事項です。
しかし広告においては、
私はもともと「プロダクトインフォメーション」(以下PI)、
すなわち製品情報の正確な伝達が本質だと考えています。
言い換えれば、いかに商品の特徴・内容をわかりやすく、ダイレクトに
消費者に理解させることができるか、と言うことです。
大手家電メーカーのトップも
「もはやブランドだけでは売れない、個別商品の差が勝負だ」
と語っているように、さまざまなメディアを通じて
消費者が自由に情報を選択できるようになった昨今は、特にそう感じますね。

---そのようにお考えになる理由は何ですか?

コンビニのなどで見る最近の健康ブームを例にとると、
消費者はお茶や豆乳など、ドリンク一つにしても
そこに含まれている原料(ポリフェノール、ペプチド、カテキンなど)や
効能に注目するようになっています。
つまり、モノの購買を決めるに際して、
製品そのものが持つ確実なPIを知りたがっているわけですね。
消費者が望むそのような情報が製品パッケージに不足していたり、
イメージ的であいまいに記載されていたりすれば、
明らかに売るための広告としては不備と言える。

コーポレートイメージやネーミングに注力した
製品個別のブランディングも大事でしょうが、
このような事例からは正しいPIの発信が重要になることが
ご理解いただけると思います。

--- PI はどんな企業も普通に有しており、
  それを広告に反映させるのは
  簡単なように思えますが?

確かに、企業の社長や幹部、一般社員の誰もが
頭の中では自社のPIを共有していることでしょう。
ところが、いざ広告をするとなると
案外それを見失ったり、気付いていても表現方法を勘違いしたり
しがちなのです。実は広告全体を見た場合、
PIとは海面下に隠れた氷山のようなもの(下図参照)。

CONTENT MARKETING

見えているのは
ほんの一部。
商品をしっかり伝えるには、
PIを整理し、収蔵し
そこへ導く努力が必要。

重要でありながら、人々の目には映りにくいのです。
だから商品パンフレット一つにしても、
先に述べたような背景からイメージ冊子に陥ったり、
逆に何でもかんでも情報を出さねばと
商品スペック(仕様)の羅列に終始してしまったりする。
これでは、それを見た消費者には表記された商品のポイントが伝わりません。

実はこうしたことは、企業がPIコンテンツを
きちんと取材・編集しきれていないために起こるのがほとんどなんですね。
ですから、まずはカタログ的にPIコンテンツを整理し、
自社のウェブサイトに訴えたいテーマ別に
情報を収蔵(アーカイブ)することから、すべてが始まります。
訴えたいことをメディアやターゲットに応じて集約させることが
広告に臨む上で最も大切になると思います。

CONTENT MARKETING

パッケージが商品の内容を
表現しています。
関心のある人は
つい手にとってしまいます。

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パブリシティーは小さなことから取り組める

--- 広告するなら、
  まず PI コンテンツを整理することですね。
  その次に取り組むのが良いのは?

それを広めること、つまり「パブリシティー」に目を向けることでしょう。
これにはさまざまな手法が考えられますが、
まずは身近なところから着手するのが良いと思います。
例えば名刺や封筒、商品ラベルや包装紙。
それら小さなものにまでPIのエッセンスを載せておくことも、
顧客に対する立派な広告の一つです。

次に、周りに対して自社のPIを積極的におしゃべりすること。
社長や社員が何かにつけてPIをアピールしていくと、
どこかでそれを聞き付けた雑誌やテレビから取材が来るなど、
思わぬパブリシティー効果につながる場合もあります。
また、どうせ話すなら絶対的なPIだけではなく、
商品開発の背景や苦労話などの「物語」も交えると良いでしょう。
先程のドリンクの例と同じことですが、
昨今の消費者はそういった製品ディテールに強く反応しますから。

さらに、自社製品のヘビーユーザー、コアな顧客との関係性を強化すること。
そのような顧客は、こちらが黙っていても自社のPIを
どんどん周囲にまき散らしてくれます。
「二割の熱心なカスタマーが利益の八割を生み出している」
とはよく言われることですが、
彼らによって大きなBuzz(=口コミ)の効果が期待できるんですね。
コア顧客は決して行動への対価を求めているわけではありませんから、
DMやEメールなどを通して密なコミュニケーションを絶やさぬようにし、
絆を深めることに力を注ぐべきです。

いずれにしても、マス広告だけを頼りとするのは早計。
予算が潤沢にある大企業は別として、
中小企業の場合は費用対効果を考慮しても、
PIに基づいて何が最適な広告手段になり得るかを考え、
小さなことから工夫してコツコツ取り組むのが良いのではないでしょうか。

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ウェブサイトの有効活用を目指せ

--- 今、より高い効果を生むと考えておられる
  広告手法にはどのようなものがありますか。

「急がば回れ」で、消費者がモノの良さを経験できる
「商品価値体験型(エクスペリエンス)」のアプローチが有効だと思います。
例えば、ビジネス見本市や試供品付きDM、
住宅展示場におけるおシャレなキッチンやバスの体験、
自動車の試乗や飲食物の試食・試飲と言えばわかりやすいでしょう。

こうした手法では消費者にPIがダイレクトに伝わるがゆえ、
下手なイメージ戦略よりも
高い広告効果に結びつくことは間違いないと考えます。
さらには、既に商品を購入、体験した消費者の「証言」を
取り入れるのもエクスペリエンス型の広告になります。

書店で近ごろよく見かけるようになった、
店員による書評が並んだコーナーなども同類の効果を狙ったものです。
新規の消費者はこのような証言を基に
商品の良さを疑似体験でき、購買意欲が高まるわけです。

自社商品やサービスについて、
可能な範囲でこうしたエクスペリエンス型広告を
考えるのは大切でしょうね。
近年、広告代理店も「クロスメディア」とか
「インテグレート・マーケティング・コミュニケーション」を
標榜し始めた。すべての媒体を統合し、総動員するやり方です。

--- そのほか、企業が広告を考える上で
  押さえておきたい
  ポイントがあれば教えてください。

私はPI重視の視点から、開示する情報量が
多ければ多いほどよりユーザーフレンドリーで
質の高い広告になると考えていますので、
ウェブサイトへの戦略的かつ重点的な投資をお勧めします。

それ自体を広告ととらえるかどうかは別にして、
自社のウェブサイトを持っているなら、
その充実を図ることは重要ですよ。
なにしろ紙媒体のように誌面に限りがないため、
いくらでもボリュームが増やせますから。
ウェブサイトとマス広告をつないだり、
その中にパブリシティーの取材源としての
ショールーム機能を充実させることは
極めて高い効果が期待できます。

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